前回の続きなのですが、いきなり横板を曲げている写真からになってしまいました。
しかも、チェロの横板・・・
実は、曲げる作業の前に、当然横板を製材する作業があるのですが、写真を撮っていなかったのでお見せすることができません。またの機会のお楽しみということにしたいと思います。
製材の作業ですが、裏板と同じ楓材を鉋で任意の厚みにします。今回のヴィオラは厚みを1.2mmにしました。ちなみに写真のチェロは厚み1.7mmです。
厚みを出した横板は、それぞれの部位の長さに切り分けて、いよいよ曲げの工程に移ります。
横板の曲げ加工は、写真にあります専用のアイロンを使用し、熱と蒸気を利用します。
つまり、木材に水を含ませてアイロンに押し当てると、蒸気が発生し木材が柔らかくなります。こうして柔らかくなった木をぐっと押し曲げるわけです。
上の写真は全て、横板曲げ用のアイロンです。左二つは、電気で熱くなるタイプで、ダイヤルによって温度調節が可能で、かつその温度を保つことができます。一番右のものは単純な鉄の塊なので、直接火にくべて熱くする必要があります。当然、温度調節は感覚に頼ることになります。
イタリアにいたころは、ずっと右端のものを使用していました。当時、学生にとって電熱タイプは高価な道具でなかなか買えなかったのです。
ですが結果的には、どのぐらいの熱さが良いかという感覚を磨くことができたので、いい経験になったかなと思います。
今回、写真を撮るにあたり久しぶりにひっぱり出したのですが、懐かしいですね。今では、良くこれで曲げていたなという感じさえします。電気のなかった時代は当たり前だったのですが。
こうして、曲げた横板をブロックに膠で接着します。
さらっと書きましたが、このC字部分の曲げ作業、未だに緊張します。というのも、学生時代、とにかくよく失敗して割ってしまったからです。慣れればそれほど難易度の高い作業ではありませんが、当時は割ってしまうたびにガックリきてました。今でも毎回横板を曲げる直前はドキドキします。